2024-05

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117樫木大尉の手記〈4〉慶良間列島 爆煙、全島おおう 米軍空襲、艦砲を開始

(ハ)六ないし八個師団以上のニミッツ軍は、比島以外に使用するか、時として比島に一ないし二個師団を使用することがある。(ニ)別に新六個師団を有しその使用方面は戦況によるがそのなかに海兵五ないし七個師団で空挺若干を有するのは注目すべきである。 ...
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116樫木大尉の手記〈3〉原色の魚 南海特有の青、黄、赤 異国的な風俗やことば

中頭地区以南は、比較的ひらけていたが以北は、未開の森林地帯であった。そのなかで、金武村だけは、二百戸ほどの町。付近の平野は「年にお米が二度とれる」と歌にうたわれる沖縄唯一の水田地帯であった。 首都の首里以南は全くのサンゴ礁地帯。その岩の地表...
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115樫木大尉の手記〈2〉沖縄の民情 民兵の竹ヤリ訓練 各隊は兵舎、陣地つくり

十九年八月以降の山三四七五部隊の任務と行動概要は一、上陸する米軍を水際で全滅させるための洞穴陣地を構築すること。(このため、坑木のきり出しと穴掘りをはじめた)二、八月中にレプラ患者を金武村付近に集中するべく各部隊の軍医、衛生下士官、兵を総動...
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114樫木大尉の手記〈1〉 「い」号作戦で行動 関東軍主力、那覇に移駐

これまでの記述は、巨視的な態度をさけ、微視的な形式ですすめてきた。沖縄戦を概念としてではなく、たたかい、死んでゆかれた同胞とともにある臨場感を、読者の肉体で感じとっていただきたかったからである。この形式は、これからも続けたいと思う。 いま、...
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113地獄図の洞穴内 転げまわる負傷兵 照準中、両眼に砲火うけ

どうしても、よく見えない。頭から天幕をかぶり、マッチをすって目盛りをあわせる。(微光灯は乾電池交換に出したままだった) 射撃法はランプによる間接照準射撃(火砲の後方に光りの小さなランプをさげ、火砲の眼鏡をそこにつける。ここをゼロとして敵のい...
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112弾薬小隊到着 アダ討ちの砲撃準備 恩賜のタバコをじっくり

満山兵長は、雑のうから恩賜のタバコをとり出した。内地帰還のとき、持ちかえるつもりで大切にしていたが、そんな機会はもうないような気がした。 思いきってフタをひらく。菊の御紋章のついた太目の巻きタバコが、箱のなかにきっちりならんでいた。おごそか...
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111敵弾の洗礼 黒土の中に三遺体 機銃掃射に手も出ず

〈久米分隊長は、どこかへ移動したな?〉分隊長の姿が見えないので、満山兵長は、そう思った。どこへ移動したのか、戦友たちのあいだを聞いて歩いた。みんな、知らないという。不安感がたかまってきた。〈ひよっとしたら・・・〉 兵長は、頭から血がひいてゆ...
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110全身に緊張感 やっと前線に到着 日中は動けず休息

前線まで残すところ四キロの地点にさしかかった。負傷兵が続々と後退してくる。よごれた包帯に傷をつつんだ彼らは、二、三人ずつ組をつくり、肩をかしたり、手をひいたりしながら、ヨロヨロ歩いてくる。足をやられた一人は、青竹にすがり必死になって歩いてい...
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109三本足の馬 弾片で足吹き飛ぶ 馬車はやむなく捨てる

二十九日午後三時、出発準備発令。軍隊手帳、典範令類(軍人の教科書様の書物)などは洞穴内に穴を掘ってうめ、背のう、予備の被服、文房具類、石ケンなどはひとまとめにしてごうの管理者にあずけた。 満山兵長は母の手作りの千人針を腹にまき、日の丸の寄せ...
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108秘密兵器 一発で敵戦車炎上 瞬時、返礼の集中砲火

久米分隊長ら三人は、小沢をのぼり山頂に出た。直径三十センチくらいの松が五、六本、砲弾で幹のなかほどからへし折られ、黒々と立っている。山のふもとには、夜目にも白々と道路がつづき、そのさきに、かすかに部落らしいものが見える。 分隊長は、あれが小...