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207黒砂糖と兵 がんばってください 銃も持たぬ兵を励ます

「ごちそうさん」 あやめ伍長は、生きかえった感動をこめ、礼をいう。「兵隊さん、腹がへっているでしよう・・・」 三人の住民―そのひとりが黒砂糖をさしだした。 伍長らは心から住民の好意に感謝し、黒砂糖をなめた。 そばの小さなゴウから母親と娘さん...
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206寺田兵長 ソ撃弾うけて即死 突然水捜しに出かけ

菖蒲伍長ら四人は、二日間、このゴウにいた。情報がはいり、まえにいた野戦重砲の陣地には敵が進入し、陣地をつくっている―という。すぐ、陣地移動の命令。動けない者は、真壁の大きなゴウへ移した。歩ける者は夜になるのを待ち、宇江城のゴウへ移動した。ゴ...
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205白骨の行列 一瞬、立ちつくす 道路の両側にびっしり

菖蒲(あやめ)正美さん(三石郡三石町○〇)は、平野大隊の指揮班所属の伍長だったが、同大隊が六月十七日まで活躍できたのは兵器係酒井伍長(函館に生存)の勇敢沈着な活動によるものである―とのべている。 五月二十八日、日本軍司令部は豪雨のなかを首里...
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204部隊長と大隊長 残りの「カンパン」 負傷の下士官の胸に

田中曹長は、全力をつくして穴からはいあがった。身うごきできないほどの疲れ―足音を耳にしたのは、しばらくたって、疲労が回復してからだった。 よく見えないが日本兵らしい―と直感し、声をかけた。相手は独立速射砲の監視兵であった。曹長は歩兵二十二連...
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203あるく 上半身は傷だらけ 一本のツエがたより

田中曹長は、ゴウの入り口から外へ二メートルほどはいでた。そこから四メートルほど行けば、山頂の敵軍からは死角になっていた。 救援の通信隊員らは、すでに五十メートルほども先行していた。突然、身辺で手りゆう弾サク裂。曹長は腰から左腹部にかけて被弾...
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202田川大隊長 馬のり攻撃に苦戦 最後の一兵まで失う

〈各中隊や配属をうけた工兵機関銃中隊に、もう生存者はいないだろうか?〉 田中曹長は、それらを弁ガ岳の部隊本部に後退させ平野少佐の指揮にいれる責任を感じた。敵の攻撃をうけ、負傷しながらも各陣地をたしかめて歩いた。 回り歩いて、大隊本部のごうへ...
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201死ぬなよ きっと本部へ戻れ・・・ 顔は血と土にまみれる

〈大隊長も苦しそうだが、俺も、こんな苦しいめにはあったことがない。いままでで一番くるしい・・・〉 田中曹長は、目の前が、だんだんくらくなってゆくのを感じた。遂になにも見えなくなった。吸いこむ空気が、煙筒からの煙か、炎のように熱い。 入り口の...
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200呼吸困難 土砂で入り口埋まる あつさに苦しめられる

五月二十三日午前四時、敵歩兵は一四○高地に馬のりし、後方の一五○高地からは敵戦車が攻めてきた。 大きな入り口には、平野大隊長と竹浜軍曹、小さな入り口には、田中曹長と兵ふたりが守備配置についた。曹長は入り口の前に土を積みあげ、そのうえに土をい...
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199地獄の季節 140高地の争奪 一帯しかばねの山

陣地へもどった田中曹長を、兵隊たちは不審そうにむかえた。「どうしたんです? 曹長殿・・・」 指揮班の兵隊は、とがめるような態度―「残念ながら、ひとり逃がしてしまった。・・・あの敵兵の連絡で、あすは一五○高地から猛烈な攻撃をくうぞ」 曹長の行...
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198敵の死体 交通ゴウに四十体 敷きうめたように・・・

川口副官を失ってからの平野少佐は、力を落とし疲れがめだつようになった。第一線進出以来四十余日その間、睡眠時間は毎日二時間半くらいしかとっていない。心身ともにおとろえるのは、むりもなかった。 一日の戦闘が終わり、大隊長として夜間なすべき処置を...