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187宣撫班 生き残り兵を助け 終戦を知らせる

午後七時ごろ、鈴木中隊長は下浅伍長らと四人組となりごうを出ていった。五分おいて、つぎの組。ふたたび五分後にもう一組が出た。 そのとき「中隊長戦死ッ!」 悲報がごうへ。橘少尉は息を飲んだ。〈しまった・・・中隊長戦死か・・・〉 からだの力が抜け...
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186老上等兵 よく戦ってくれた・・・ 残りも少なく隊は解散

星空を見上げながら敵戦車を待つ―いくら待ってもこない。兵隊は陣地に引きあげた。 二十日、敵戦車十数台を先頭に、そのすぐうしろに敵歩兵、さらに、五、六百メートル後方に一列横隊にならんだ米兵が、たばこをふかしながら攻めてきた。 橘小隊は、このド...
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185いのちをくれ 国のため死は覚悟 驚きもせず命に従う

六月十四日、中村部隊長は、真壁のゴウへ移った。十七日の夜なか部隊長命令がでた。〈真壁ゴウに、各将校を派遣せよ〉 橘少尉らはゴウで命令をうけた。〈鈴木中隊=第四中隊=は、与座岳の工兵隊のゴウにはいり金山大佐=山三四七六部隊長=の指揮にはいれ〉...
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184パインかん 腹いっぱい食べる あすは今生の別れか・・・

〈よしッ!そっちが、その気なら、こっちにも考えがあるぞ!〉 橘少尉は、積み込み作業にあたる運転手、助手の兵隊たちにパインアップルのかん詰めをたべることを命令した。「腹いっぱい食え、遠慮するな。俺が責任者だ!」 兵隊たちは、銃剣でかんを切りひ...
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183高級食 ビール、生きた羊 軍司令部へ運べ・・・とは

橘少尉らの自動車部隊は、首里前線からの負傷者輸送をはじめた。毎夜、どろにうまりながら数百人の負傷者をトラックにのせ、後方の野戦病院へはこぶ。 野病はどこも満員。入り口からあふれ、野天に、サトウキビをかけておいてある。〈戦争とは、こんなにも悲...
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182ふたりの軍曹 きれいにヒゲそる あたった死の予感

橘少尉はつくづく思う。(トラックという大きなものをもっているため、よその部隊より負担がよけいかかる。これが縁の下の力持ち、めだたない、つらい任務だ。ひたすら輸送に万全を期すことだけが生きがいなんだ) 第二分隊長の小泉良治軍曹(旧姓山田)は少...
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181安楽部隊か・・・ 必死に物資を運ぶ いまはすべて前線

山三四八三部隊(輜重兵第二十四連隊・長・中村卯之助大佐)第二大隊(自動車大隊・長・服藤照近少佐=四国出身)第四中隊(長・鈴木茂中尉=柏崎出身)の戦闘を橘政敏少尉(帯広市西二南二ノ十九)の手記によってつづる。 橘さんは十八年十一月一日、学徒出...
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180イカダ 脱出計画に失敗 海岸一帯に地雷

ゴウのなかに、まだ日本兵が九人いた。彼等は、海上を突破して国頭へ行くことを決めたといい、毎夜、九人で海岸へ行き丸太でイカダをつくっていた。ある日、彼等の代表が、杢大伍長らに別れのあいさつにきた。「いよいよ今夜、俺たちはイカダで海上の敵船のな...
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179タバコ ただ、吸いたい一心 マネ事で気まぎらす

その中学生は十六歳。米軍上陸前に戦車肉薄攻撃隊員として特別訓練をうけていた。戦闘がはじまると、訓練どおりに爆雷を持たされた。命令により敵戦車が進撃してくると予想されるくぼ地で待機していた。何日も待った。しかし、敵戦車は、この中学生のそばを通...
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178脱出計画 くぼ地底にうめき声 かすかな息する中学生

「なんだ?」「だれか走ってきますッ」 杢大伍長と島袋二等兵は顔を見合わせて緊張した。手にはしと飯ごうをにぎったままだ。兵長の階級章をつけた兵隊がフラフラしながらでてきた。疲労しきっている。「み…水はありませんか?」 伍長は緊張をといた。「あ...