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090めしもそぞろ あすは総攻撃 ひたすら帰隊いそぐ

鈴木分隊は、夜明け方(四月三日)敵歩兵部隊の攻撃をうけた。重機関銃弾を十連(三百発)ほど撃ち終えたころ、くぼ地から敵戦車が十台ほど現われた。戦車砲弾が、至近距離でしきりにサク裂する。  鈴木分隊長は危険を感じ、後退を命じた。隊員は陣地から飛...
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089工藤分隊全滅 土砂に埋まる銃 暗ヤミの中で整備

石沢第二小隊長の戦死は、夕方中隊指揮班に報告された。日中は、砲弾が激しく三百メートルさきの指揮班へ行けなかったのである。  報告を終えた鈴木分隊長は、今夜、工藤分隊とともに、夜襲攻撃をするよう命ぜられた。陣地へ帰った鈴木分隊長は、隊員ととも...
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088石沢准尉 〝ああ!小隊長殿が〟 部下思いだったのに

同じく山田博中隊(第一重機関銃中隊)第二小隊(長・石沢寅雄准尉)の第一分隊長鈴木清三伍長(斜里町〇〇)の手記によって、当時のもようをつづる。  湊川付近にいた第二小隊は五月一日夜、山三四七五部隊と交代の命令をうけ、午後七時ころ激しい敵砲弾の...
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087運玉森 一発も撃てず 幾十倍ものお返し

中隊は行動を開始し、運玉森の戦場に出た。兵隊は、さっそくタコツボ陣地を掘る、山田中隊長と鈴木曹長は兵一人をつれ山頂に登って敵状を偵察した。ここを守備していた石兵団の部隊がすでに全滅してしまったのでなにもわからない。(負け戦はどこまでいっても...
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086ノミの群れ 壁面を赤く染める ごう内に音をたてて

友軍砲兵の撃った砲弾が、首里北方に弾着するのが、よく見える。鈴木曹長は、津嘉山のふもとにアワモリ製造工場を見つけ、水筒に泡盛をつめた。  橋はおち、三差路や十字路には、敵砲弾がたえまなく落下して、通過がむずかしい。山ぞいの道路の上空では、り...
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085スパイとビラ 船上から発火信号 日本軍の服装で暗躍

四月二十五、六日ごろ、棚原地区の戦局は一進一退、さかんにスパイ暗躍のデマがとんだ。 「スパイは、日本軍の将校や下士官の服装をしている。なかには女もいる。男は後頭部、女は陰部にしるしをつけている」  鈴木繁雄曹長には信じられないことだった。だ...
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084ロケット弾攻撃 聞きなれぬ音 監視所の天井吹っ飛ぶ

鈴木繁雄曹長は、手代森甲官軍曹と敵戦艦の艦砲発射数をかぞえていた。鈴木曹長が、中隊から手代森分隊の陣地へでかけたのは、あまりにも艦砲弾が猛烈だったからだ。二人は、陣地の入り口にたち、熱心に数えつづけた。二人の前方十五メートルの地点に、艦砲弾...
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083海三船七 米軍、上陸を開始 海は船でいっぱい

笹森兼太郎さん(釧路)は、二十年三月二十三日から四月一日の米軍上陸までを、次のように書いている。  連日、米軍の空襲、艦砲射撃をうけ、戦闘の間近いことを感じた。四月一日、米軍は嘉手納(渡具知海岸)から上陸。その報告が「海が三分で船が七分」 ...
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082レールのヤリ 鉄道線路をはずし 銃剣がわりに急造

山三四七六部隊(長・金山均大佐)第一大隊(長・丸地軍次大尉)の第一機関銃中隊(長・山田博中尉=札幌市琴似〇〇富子夫人)の行動を、鈴木繁雄曹長(富良野町〇〇)笹森兼太郎兵長(釧路市〇〇)佐藤三郎伍長(広尾郡大樹町〇〇)鈴木清三伍長(斜里町〇〇...
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081吉岡伍長の涙 山となる戦死体 かたづける気力もない

米兵の肉薄攻撃をうけた重機関銃分隊(長・三浦伍長)は残った四人のうち、二人は米兵に小銃でおう(殴)殺され、やっと二人が長浜上等兵らのところへ逃げ帰ってきた。  重機陣地では、三浦分隊長がひとり、激しい敵弾をあびながら、陣地内を狂ったように駈...