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100 USAT6 スパイを逮捕 左薬指にイレズミ

夜になると、陸上から赤・青・黄の照明弾が、海上の米艦船に見えるようにあがった。スパイが上陸し、何事か連絡をとっているらしい。 つかまえてやりたい―とねらっていた栗山兵長は、ある夜、岩かげにかくれ、沖の米艦船に懐中電灯で信号を送っている男を見...
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099特攻機の体当たり 舞い上がる火柱 米重巡、一瞬に消ゆ

なんとも、いいようのない、たまらない気持ち―張りつめていた緊張感が、不発のまましぼんでゆく。いやな感じだ。海上の小舟(米軍の上陸用舟艇)は消えてしまった。 栗山兵長が、米軍上陸を耳にしたのは、それから二日後の四月一日だった。石兵団が戦闘して...
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098海上圧す米艦隊 じっと上陸を待つ 緊張にふるえながら

栗山兵長ら第一小隊員は、摩文仁西側の小渡(おど)部落海岸の陣地にはいった。そこは、満潮時には、足もとまで海水がくるようなところであった。中隊本部、小隊本部は、海上からも、空中からも見えないところに設けられ、地下坑道でつながっていた。午前八時...
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097摩文仁陣地 水平線に大艦隊 3月20日死ねばいいの闘魂

四月二十八日、山三四七六部隊(長・金山均大佐・歩兵第八十九連隊)第一大隊(長・丸地軍次大尉)第二中隊(長・甘利栄司中尉)に待望の出動命令がくだった。「第二中隊は、与那原西方、運玉森に出撃せよ」 第一小隊(長・丸子清雄中尉)第二分隊(長・阿部...
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096ごう内にかんづめ 次々倒る部落民 米兵、上乗りして掃射

夜になった。伝令・北畠上等兵は帰ってこない。みんなが心配していた。そのとき、洞穴の入り口付近が急にさわがしくなった。私(志田)は、北畠上等兵に、なにか事故があったのではなかろうか?と不安を感じ、入り口へ歩みよった。「兵隊さん、兵隊さん、こい...
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095沖縄の女性 戦車の上に平然 神の加護を信じてか・・・

前面にいる米軍の後方から一台のM4戦車が現われた。戦車の上に、和服姿の中年の女が腰をかけてのつている。日やけした沖縄の女だ。はだしの足を前になげだし、わが陣地を指でさし示しながら、戦車内の米兵にしきりに何か言っている。私(志田)は、腕時計を...
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094米軍の物資投下 大空を色どる 黄、白、緑の落下さん

よく日(四月二十日)朝から砲爆撃をうけた。だが、安謝、内間(うちま)銘苅(めかる)付近には、敵兵の姿は見えなかった。部落民が七、八人、大きな南京袋をかついでやってきた。私(志田)は思わずどなりつけた。「あぶないぞ!明るい時に、そんなものを持...
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093ごう内の悲劇 かあさん泣くな 母を慰むひん死の子

志田上等兵のいる病院ごうへ中隊の塚谷政三軍曹(石狩町〇〇)がやってきた。負傷兵を二人つれている。大槻蔵吉兵長(室蘭)と北畠上等兵(北海道)で、二人とも大たい部に負傷している。 私(志田)は塚谷軍曹に声をかけた。「班長殿、お願いがあります。自...
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092麻酔なしの手術 〝絶叫〟足を切断 赤カブのようガスエソ

五月十五日付け第四十四回で石兵団の志田十司夫上等兵(札幌北〇〇)は、肩から背中にかけて重傷をおい、大隊本部病院(沢岻=たくし)まで、約一キロの道を銃をつえに歩きだしたことを書いた。その後どうなったか― 途中、何十回やすんだか数えてもいなかっ...
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091生きているとは・・・ 陣地内でさく裂 しばし目もみえず

五月一日、笹森兼太郎兵長(釧路)は、山田博中隊(第一重機関銃中隊)第三小隊長星野慧一曹長の声を耳にした。「お前たちの目前にいる青い色の鉄帽をかぶったのが米軍だ。よく見ろ」 笹森兵長は我妻第二文隊長らと、ごうを出て前方をうかがった。ここは小波...