101-200 200呼吸困難 土砂で入り口埋まる あつさに苦しめられる 五月二十三日午前四時、敵歩兵は一四○高地に馬のりし、後方の一五○高地からは敵戦車が攻めてきた。 大きな入り口には、平野大隊長と竹浜軍曹、小さな入り口には、田中曹長と兵ふたりが守備配置についた。曹長は入り口の前に土を積みあげ、そのうえに土をい... 2024.05.29 101-200
101-200 199地獄の季節 140高地の争奪 一帯しかばねの山 陣地へもどった田中曹長を、兵隊たちは不審そうにむかえた。「どうしたんです? 曹長殿・・・」 指揮班の兵隊は、とがめるような態度―「残念ながら、ひとり逃がしてしまった。・・・あの敵兵の連絡で、あすは一五○高地から猛烈な攻撃をくうぞ」 曹長の行... 2024.05.29 101-200
101-200 198敵の死体 交通ゴウに四十体 敷きうめたように・・・ 川口副官を失ってからの平野少佐は、力を落とし疲れがめだつようになった。第一線進出以来四十余日その間、睡眠時間は毎日二時間半くらいしかとっていない。心身ともにおとろえるのは、むりもなかった。 一日の戦闘が終わり、大隊長として夜間なすべき処置を... 2024.05.29 101-200
101-200 197懐中時計 あとの事は頼んだぞ・・・ 形見を残して戦死 平野大隊長は「本部が中隊よりさきにつぶれては話にならん。いかに敵の砲弾がはげしくとも、かならず目を出せ。カタツムリになったら敵の思うつぼ、馬のり攻撃をうけ全滅だぞ」 大隊長にいわれるまでもなく、この教訓は我如古の戦闘以来、全員が骨身にしみて... 2024.05.29 101-200
101-200 196本望 鉄輪のさびになろう 友の死守したこの陣地で 十数台の敵戦車群が二百人あまりの歩兵をしたがえ、第二大隊の陣地に迫ってきた。「きようで最後だ・・・」 つぶやいたのは迫撃砲小隊長米内軍曹。彼は第二機関銃中隊から迫撃中隊に転属してきた函館連隊区出身者だった。 田中曹長も、これで第二大隊も全滅... 2024.05.29 101-200
101-200 195死と対決 休まぬ米軍の攻撃 じっとタコツボにひそむ 田中曹長は、対空遮蔽作業で部隊をかくしたことを大隊長に報告。大隊長は、この処置をよろこび、さらに偽装を完全にすること、天蓋部をできるだけ厚くすることを命じた。 午前七時ころから敵の砲撃がはじまった。田中曹長と有線電話手、当番兵の三人は、大隊... 2024.05.29 101-200
101-200 194独断 指示のない不安感 対空遮へい工事実施 山三四七四部隊第二(平野)大隊は、石兵団退却えん護の任務を終えるとすぐ連隊の指揮下にもどった。 第二大隊は、幸地部落西南の一四○高地から左へ展開して陣地配備についたが、五月四日、つぎの任務を与えられた。〈わが第一線攻撃部隊が、敵の第一線陣地... 2024.05.29 101-200
101-200 193沖縄の土 最後の突撃を敢行 わずか30人の木口隊 山三四七四部隊第十一中隊(長・木口恒好大尉)の総攻撃(五月四日)には、長浜慶治上等兵(赤平市○〇)は、負傷のため参加していない。連隊資料その他聞き書きによると―。 四日午前五時、木口中隊長は中隊の全員を集めた。配属機関銃隊をいれ、はじめ約二... 2024.05.29 101-200
101-200 192通信隊 戦況、しだいに悪化 切り込みで大半失う 山三四八二部隊(九七五部隊・第二十四師団通信隊)についてわかっていることは、隊長が保科清一郎大尉、無線隊長宮川中尉、有線第一小隊長根本少尉、第二小隊長石黒准尉。生還者としては伊藤徳五郎さん(札幌市月寒○〇)と藤川政義さん(旭川市○〇)から連... 2024.05.29 101-200
101-200 191函館なまり 友の消息尋ね合う 同郷の二人、戦いさなか 野戦病院を追いはらわれる。〈今夜また、弾薬輸送をしなければならないのだ。きみたちを乗せていたのでは、それができない。任務のためだ、ゆるしてくれ・・・〉 細田軍曹らは、松林にトラックをとめる。二十二くらいの負傷者をそこにおろす。〈うらむなよ。... 2024.05.29 101-200