101-200 190探知機 エンジンの音とらえ すぐ雨のような砲撃 山三四八三部隊の本部は、首里―南風原の中間の谷間にあった。各中隊は本部のゴウから指令をうけとり、前線への輸送任務についていた。 五月中旬、雨期にはいり、道路は砲弾と雨で泥田にかわった。そのなかで、前線へのトラック輸送は困難をきわめた。輜重... 2024.05.29 101-200
101-200 189輸卒 軍馬もなく徒歩で 兵器、夜を待っては運ぶ 細田久雄曹長(函館市○〇函館消防本部、警防課長)の手記から山三四八三部隊(輜重兵第二十四連隊)の行動をつづる― 細田曹長(当時軍曹)は、第二大隊(自動車大隊)第五中隊(長・小松保男中尉・山形酒田出身、二十年六月二十一日真栄平で戦死)に所属... 2024.05.29 101-200
101-200 188終戦を確認 武装解き収容所へ 終戦のことば録音で 宣撫班員から聞いた敗戦の話に、橘少尉はその夜ねむられなかった。 〈あすのあさ、ジープで米軍の大尉、中尉、梶川二世がくる・・・〉 ねぐるしい夜があけた。七人は協議し、橘少尉を一同の責任者としてえらび、米軍との交渉にのぞんだ。 午前八時、米... 2024.05.29 101-200
101-200 187宣撫班 生き残り兵を助け 終戦を知らせる 午後七時ごろ、鈴木中隊長は下浅伍長らと四人組となりごうを出ていった。五分おいて、つぎの組。ふたたび五分後にもう一組が出た。 そのとき 「中隊長戦死ッ!」 悲報がごうへ。橘少尉は息を飲んだ。 〈しまった・・・中隊長戦死か・・・〉 からだ... 2024.05.29 101-200
101-200 186老上等兵 よく戦ってくれた・・・ 残りも少なく隊は解散 星空を見上げながら敵戦車を待つ―いくら待ってもこない。兵隊は陣地に引きあげた。 二十日、敵戦車十数台を先頭に、そのすぐうしろに敵歩兵、さらに、五、六百メートル後方に一列横隊にならんだ米兵が、たばこをふかしながら攻めてきた。 橘小隊は、こ... 2024.05.29 101-200
101-200 185いのちをくれ 国のため死は覚悟 驚きもせず命に従う 六月十四日、中村部隊長は、真壁のゴウへ移った。十七日の夜なか部隊長命令がでた。 〈真壁ゴウに、各将校を派遣せよ〉 橘少尉らはゴウで命令をうけた。 〈鈴木中隊=第四中隊=は、与座岳の工兵隊のゴウにはいり金山大佐=山三四七六部隊長=の指揮には... 2024.05.29 101-200
101-200 184パインかん 腹いっぱい食べる あすは今生の別れか・・・ 〈よしッ!そっちが、その気なら、こっちにも考えがあるぞ!〉 橘少尉は、積み込み作業にあたる運転手、助手の兵隊たちにパインアップルのかん詰めをたべることを命令した。 「腹いっぱい食え、遠慮するな。俺が責任者だ!」 兵隊たちは、銃剣でかんを... 2024.05.29 101-200
101-200 183高級食 ビール、生きた羊 軍司令部へ運べ・・・とは 橘少尉らの自動車部隊は、首里前線からの負傷者輸送をはじめた。毎夜、どろにうまりながら数百人の負傷者をトラックにのせ、後方の野戦病院へはこぶ。 野病はどこも満員。入り口からあふれ、野天に、サトウキビをかけておいてある。 〈戦争とは、こんなに... 2024.05.29 101-200
101-200 182ふたりの軍曹 きれいにヒゲそる あたった死の予感 橘少尉はつくづく思う。 (トラックという大きなものをもっているため、よその部隊より負担がよけいかかる。これが縁の下の力持ち、めだたない、つらい任務だ。ひたすら輸送に万全を期すことだけが生きがいなんだ) 第二分隊長の小泉良治軍曹(旧姓山田)... 2024.05.29 101-200
101-200 181安楽部隊か・・・ 必死に物資を運ぶ いまはすべて前線 山三四八三部隊(輜重兵第二十四連隊・長・中村卯之助大佐)第二大隊(自動車大隊・長・服藤照近少佐=四国出身)第四中隊(長・鈴木茂中尉=柏崎出身)の戦闘を橘政敏少尉(帯広市西二南二ノ十九)の手記によってつづる。 橘さんは十八年十一月一日、学徒... 2024.05.29 101-200