2024-05

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227ムシのしらせ 土砂、坑木の下敷き 予感、ぴったり当たる

石峰に到着した佐藤上等兵は中村軍曹、美馬上等兵と小隊員のはいるゴウをさがした。 すぐ、がんじようなゴウをみつけた。三人はなかへはいった。ひろびろとしていて奥も深い。だが、地面に水がたまっていて腰をおろせない。―小隊長はいいゴウだという。ここ...
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226裸で逃げる 頭上で砲弾さく裂 服を干している最中に

佐藤上等兵は渡会小隊長に、ふたりの分隊員を見失ったことを報告した。小隊長の怒声―「佐藤ッ!貴様、分隊の兵を掌握できなくて、分隊長がつとまるかッ!行ってさがしてこいッ!」 上等兵は、すっかり明るくなった道をもどった。部下ふたりの不注意に腹がた...
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225脱出 音を立てずに行動 必死でつづく負傷兵

渡会小隊長は「わが第一大隊は、四方を敵にかこまれ、孤立している。今夜、敵の包囲から脱出するが、重傷者はそのまま。歩ける者は部隊と行動をともにする。音のするものは、全部つつむか、音がでないように準備して、出発命令を待て」 小隊長は去り、夜にな...
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224待機 故郷の家族に思いはせ じっと敵襲を待つ

〈本土では、何をしているんだ?沖縄はどうなるんだ?次は本土が戦場になる。この地獄のようにむごたらしく、悲惨な苦しみを、家族の者たちに味あわせたくない。きようまで何千、何万もの若者たちが、いのちを投げだして、ようやくこの地点まで進み死守しては...
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223陣地配備 軽機関銃も据えつけ やみの中でタコツボ掘る

佐藤上等兵はタコツボからはいだし、岩かげづたいにじやりに足をすべらしながら斜面をのぼり、小高いところにでた。墓があり、なかに中原一等兵(沖縄)がいた。「分隊長殿、上のほうで友軍が応戦中のようです」「わかった。見てくる。お前はここにおれ」 上...
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222日の丸 友軍機だ!だが一機 目にしむ日の丸、思わず涙

友軍機でない。敵の艦載機だ。〈だが、このあとから、かならず友軍機が迫ってくる。かならずやってくる〉 佐藤上等兵は、自分にいいきかせた。 上空を数十機の敵機が飛び去って行った。二、三分して、ふたたび爆音がした。〈これだ。これが友軍機だ。音がち...
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221北海道の味 豆かんに故郷しのぶ 友軍機か、青空に爆音

渡会小隊長がきた。命令あるまで撃つな―という。佐藤上等兵は、掘り終わったタコツボにはいってみた。〈深さはじゅうぶん、これでよし〉 突然、銃声。頭のうえからだ。のびあがって見た。川添一等兵だ。三発、四発とつづけて撃ちまくっている。「川添、撃つ...
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220友軍機 二百五十機沖縄へ? きっと友のカタキを

佐藤上等兵ら第三中隊(工藤隊)は、その夜、歩ける負傷兵を野戦病院に後退させ、一四六高地から移動することになった。 失明してはいまわる山下一等兵は、戦友たちがくぼ地へつれてゆき、かならず迎えにくるから待っていろ―といっている。だが、一等兵は、...
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219両眼失明 地面をはいずる友 死体の浮く水を飲む

佐藤武夫上等兵(山三四七五部隊第一大隊第三中隊・釧路市南大通り六ノ二二)の手記によって、同中隊の五月七日以降の戦闘状況をつづる。 五月四日の夜襲に失敗、命からがら夜襲出発前の陣地・一四六高地にもどった。 丘のふもと一面に掘ってあったタコツボ...
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218終戦 苦闘も水のあわ 戦死の友にすまない

山の下に敵の自動車修理工場があった。その炊事場へ高橋禎一等兵と撫養兵長は食糧をぬすみに行って攻撃をうけ、命からがら逃げ帰った。それからは大胆な食糧あさりをやめた。 米軍のゴミ捨て場にも食糧になるものはあったし、山羊の生肉も、ミソをつけてくえ...