aaokinawa

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167あるく幽霊 死体の中さまよう 工兵のごうを捜し…

箱にすがり、伊坂兵長はフラフラして立ちあがる。右手で砂をかく。〈早くここを出よう〉 意思力の限界、体力の限界を感じ休んでは掘り、掘っては休み、やっと、カンパンの箱を引き落として、ゴウの外へでた。 薄やみにつつまれた外界。目をやられたらしくす...
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166俺の顔に小便! だれかがゴウの中へ 全力しぼる歩一歩

伊坂兵長の見守るゴウの入り口に、はやぐちのさわがしい英語がひびいた。兵長はグッと全身を緊張。とたんに、十人ほどの敵兵が、ゴウの前を横ぎった。〈やれッ!〉 兵長は、つづけざまに手りゅう弾を二発投げた。三発目を投げようとしたとき一発の手りゅう弾...
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165布施伍長 口から血ふき出す 絶命寸前の班長

布施伍長ら三人のうしろ姿を見ながら、伊坂兵長は、おのれの心の声を聞いた。〈負傷者といえど、動ける者は隊員ではないか…なぜ、行かぬ〉 すぐ兵長は、中村上等兵、フチヤクキンプク一等兵をひきつれ交通ゴウを走った。 しばらく行くと、意外なことに、む...
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164切り込み ほとんどが負傷兵 敵弾の中へ飛び出す

不吉を感受するカンは、異常なまでにするどくなっている。戦友たちは、飛び散るように姿をかくした。〈あぶないッ! 逃げよう〉 一瞬、脳裏をよぎる危機感。伊坂兵長は走ろうとした。が〈待て、待て…逃げても山砲弾が爆発すれば自爆だぞ〉 思いとどまった...
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163応用投テキ 「山砲弾」を素手で・・・ ゴウ入り口の海兵隊目がけ

五月十三日午前十時ころ、三十人ほどの敵兵が、がけの裏側からゴウの入り口に迫ってきた。赤鬼のような大男たちは、入り口から爆薬を投げこむ。〈馬のり戦法だ。昼間、よくも大胆に肉薄してきやがったな!〉「伊坂兵長と土井伍長は、患者を守っていてくれッ」...
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162不眠不休 いよいよ全滅か…… 休まず次々攻撃へ

布施上等兵は、ノモンハン帰りの猛兵で、敵の自動小銃を一丁みやげにして帰隊、二階級特進して伍長になった。なお、この切り込みで戦死した人々は、次のとおりである。(伊坂重市兵長調査=羽幌町築別炭鉱)斎藤道博中尉(札幌南〇〇)内館留吉伍長(出身地不...
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161斎藤少尉 刀を抱き座ったまま 胸に敵弾を受け絶命

〈戦車のつぎは、自分らだ―まごまごしてはいられないぞ〉伊坂兵長らは、いっさんに駆けだした。 前田部落につく。江井中隊長はじめ戦友たちがなつかしがって迎えてくれた。 兵長らは、前線に二、三日いた。指揮班長赤尾勝二曹長(夕張)が右だいたいぶ(大...
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160友軍戦車全滅 目前で六台相次ぎ 目前で六台相次ぎ

伊坂兵長(羽幌町築別炭鉱)らの戦車地雷敷設は毎夜つづけられ、敵戦車六台を炎上させた。友軍の戦死者も一中隊の木村一等兵(出身地不明、補充兵)が九日夜戦死したのをはじめ、数十人にのぼった。地雷敷設に並行し、切り込み隊も毎夜、各中隊から出撃してい...
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159任務終了 “帰れたぞ、原隊に…” 月夜の脱走―ただ涙

〈とにかく、行けるところまで行ってやれ〉 やけ気味になった藤沢軍曹は医療用アルコールを一気に二合(〇・三六リットル)ほどのんで、一号病室の入り口から飛び出した。 外は射撃音が遠く、案外、しずかだ。人の気配もない。照明弾がたくさんあがると、明...
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158さびしい 洞くつに置き去り 敵中で原隊へ戻れず

〈発炎筒だ…どこかに発炎筒があったはずだ。あいつなら、はでに火をふくから、きっとうまくゆく…〉 藤沢軍曹は、手さぐりでさがしはじめた。岩やら板やらかんずめのあきカン、その他いろいろなものが手にふれる。〈まるで、メクラが金をさがしているみたい...