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070殺してくれ 鬼気迫る絶叫 聞くほうの気も狂う

五月四日午前四時を期し、陸海空軍あげての総攻撃が行なわれる―この情報に、笹島兵長ら第一機関銃中隊(岸中隊)は、必勝の信念をいだいて前進した。 岸中隊は、小さな切り立った岩かげに到着、そこで夜を明かした。薄明るくなったころ、笹島兵長は、陣地を...
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069吉岡兵長の死 衝撃で息絶え 〝貴様の分も俺が・・・〟

小波津の東方二キロには、中城湾がある。米艦隊は中城湾から小波津戦線にたえまなく艦砲弾を撃ち込んだ。笹島兵長の第一機関銃中隊は、右側面から艦砲弾をあびながら、墓所の前に陣地を構え、攻めてくる米軍に応戦していた。 機関銃を発射中の笹島兵長の目の...
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068出征の歌 軍歌を口ずさみ 勝ち気の網谷一等兵死す

山三四七五部隊は、四月二十三日午前九時、出撃命令をうけ、島尻郡照屋部落の草ぶき兵舎を午後十時出発した。 第一大隊(長・伊東孝一大尉)第一機関銃中隊(長・岸富雄中尉)の第一小隊長蔭山俊雄少尉(札幌)は敵弾のこない岩かげに小隊の全員を集め、最後...
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067生き残りの三人 戦死、負傷が続出 兵隊の群に艦砲弾さく裂

佐藤武夫分隊長は、だれか生きている者はいないか、動いている者はいないか、と、伏せたまま、のび上がってあたりを見回した。 第二小隊の夜襲要員は二十五人。それが、またたくまに全員戦死するとは―信じられないことであった。眼前で展開されたいまの光景...
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066動くものなし 右も左も戦死 頼みの重機、遂にこず

寒さを感じ、佐藤分隊長が正気づいたときは、日がくれかけていた。〈どのくらいたったのだろう?〉 顔をなでてみた。メガネと鉄帽がない。あおむけに倒れている自分に気づく。鉄帽は、すぐそばにころがっていた。爆風をうけただけで、これというけがはしてい...
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065母の名をよぶ 〝ああ、最後だな――〟 すべてが遠くへ

佐藤武夫分隊長(釧路市〇〇)は黒人兵を監視しつづけた。黒人兵は、一度、キヤベツとりに姿を現わしたきり、出てこない。攻めてこない米軍と向きあったまま夜になった。 伊藤小隊長と三年兵(氏名不明)が、ヤミにまぎれ敵状偵察に出発した。小隊の全員が無...
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064工藤中隊③ 両足だけ残し 直撃弾を受け飛び散る

佐藤分隊長が身のちぢむ恐怖にかられているとき、運よく移動命令が出た。斜面からヤミのなかを二、三メートル前進。丘のふもとについて、分隊員は各自でタコツボを掘り、身をかくした。一帯はせまいクボ地。タコツボ間の距離は、せいぜい五、六十センチしかな...
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063工藤中隊② うなり、叫ぶ負傷兵 戦友も日一日と減る

高橋小隊長は中山伍長の顔をじいっとのぞきこみ「中山、分隊長をやれば死ぬぞ、覚悟はいいか?」 と念をおす。死は好むところではないが、決心はしている。伍長は、無言でうなずいた。「まあ、みなみな死ぬというわけではないから大じようぶだ・・・」 高橋...
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062工藤中隊① 立木も棒と化す 隊列に敵弾が落下

山三四七五部隊第一大隊(長・伊東孝一大尉)第三中隊(長・工藤国雄大尉)の行動を、第二小隊(長・伊藤少尉)第一分隊(長・中島三郎伍長)佐藤武夫上等兵(釧路市〇〇)と第三小隊(長・高橋幸一准尉)第四分隊(長・中山慶松伍長=札幌市南〇〇)の手記に...
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061女学生たち 爆撃も無関心 一途に負傷兵を後送

こんなに砲撃をあびているのでは、とても経塚部落にははいってゆけない。撫養兵長は、そう思った。 なおよく見ていると、砲煙弾雨につつまれた部落から、担架で負傷兵が運び出されている。運んでいるのは、沖縄の女学生たちだ。モンペ姿に白ハチ巻き、砲撃も...